あい・あいプラス(旧にじ)について
発達が気になる子どもの支援施設の必要性

自らの経験から「障害児保育事業」の重要性を実感

2014年に「にじ」を作った理由は、発達が気になる子に対して、その子自身の成長を支援したかったからです。私の経験として、保育園を経営していると60名定員の保育園を作ると少なくても1人、多くて3人は発達面で気になる子がいます。本来的には、その子の発達にあったプログラムを提供したいところなのですが、保育園は、基本的に18ヶ月検診前に入園するため、どうしても入園後に気付くことになるため、避けることができない構造です。

例えば、入園後、みんなで散歩に行こうとしても、ある子だけは行こうとしません。他のことに興味を持っているのか、まだ言葉が分からない状態なのか、理由は様々です。こういった場面で初めて保育士がその子の発達面に遅れがあることに気づくのが現状なのです。この場合、日本の現行制度では、保育士を一人増やすことで対応しており、戦後、ずっとこれでやってきました。でも、それは果たしてその子のためになっているのでしょうか?

人と違うことをするからマンツーマンで保育士がつくだけで、保育園でその子の行動は変わりません。これでは、せっかく5年間通ってくれたとしても、その子にとって適切な保育を提供することができないまま、卒園して行ってしまいます。このような経験から、発達が気になるお子さんをサポートする施設を作りたいと思ったのです。

すべての子どもの成長をサポートするために

私は、発達障害児に関しては、発達障害について専門的な知識を持つ医師などの専門家が見るべきであると考えています。
そのため「にじ」は、ただ預かるだけでなくその子にあった教育プログラムを提供することで、その子の成長をサポートするような施設にしたいと思いました。

そもそも「発達障害」という言葉が世間で知られるようになったのは、15年程前です。2005年に発達障害者支援法が施行されてから徐々に周知が進み、2010年代には、放課後デイサービスをはじめ、発達障害児に関するさまざまな施設がたくさん出来ました。
放課後等デイサービスを行う「にじ」も開所から6年経ち、ノウハウや経験を重ねていった結果、本当に子どもたちの力になっているのか疑問が生じました。そしてまだまだ力不足であると痛感しました。

これまでのノウハウと経験で「にじ」をパワーアップ

あい・あい プラスの“プラス”に込めたもの

現状の「にじ」では、お子さんの成長に寄与するという当初の目標を達成するのが難しいと考え、2021年4月からは「あい・あいプラス」と名称を変えて、プログラム内容を抜本的に刷新する予定です。名前の“プラス”には2つの意味が込められています。1つは、子どもたちにとってプラスになるということ。そしてもう1つは、あい・あい保育園にとってもプラスになるということです。

まず、子どもたちにとってのプラスは、「学習プログラム」と「運動プログラム」により、学習面と運動面はもとより、対人関係や社会生活に必要な社会性に関するスキルも育まれることです。
そして、あい・あい保育園にとってのプラスは、「あい・あいプラス」のスタッフが、あい・あい保育園に直接訪問して、これらのプログラムを行うことです。これによりあい・あい保育園に通う発達が気になる子に対しても、その子自身の成長に寄与できるのです。

その子の成長に合わせた3つの「学習プログラム」

「あい・あいプラス」で提供する「学習プログラム」は3つあります。視覚認知機能を高める「脳バランサーキッズ」、手先を使う「微細運動トレーニング」、学習の土台となる図形や思考力を育てる「IQ(いっきゅう)パズル」です。これらを、その子自身の課題に合わせた支援計画で行います。毎日、毎日、繰り返し、反復することで、お子さんは向上しますし、変わっていくと信じています。また、定期的に記録を分析して、適切なフィードバックにつなげていきます。

反復練習でスキルを育む「運動プログラム」

「運動プログラム」は作業療法士と養護教諭の監修で作成しました。障害を抱える子どもがつまずきやすい部分について特に反復練習できるように監修したもので、もちろんその子自身の課題に合わせた支援計画に基づいて実施します。他にも挨拶や順番を待つ、話を聞く、友達を応援するといった対人関係に必要なスキルを育む2人~4人の小集団の運動プログラムもあります。

「あい・あいプラス」で働くスタッフの専門性を独自の教育制度で強化

さらに、「あい・あいプラス」で働く職員は全員が保育士資格を保有し、作業療法士などの専門資格をもった専門家の人材も配置します。
さらに、一般の保育士も当社独自の教育制度で専門性を身に付け、発達障害におけるアドバイスができるようにするのが目標です。保護者様の相談にも乗れるような頼れる存在になる、そういう取り組みを行っていく予定です。

出張プログラムの意義とインクルーシブ教育

「あい・あいプラス」の独自性とは?

あい・あい保育園は今年で80園ほどになりますが、どの園にも発達障害児が1~2人の割合で在籍します。発達障害により周囲とのコミュニケーションがうまくとれないことで、自己肯定感が低くなることにもつながります。つまり、少なくとも毎年80名ほどの子どもたちが、生活のしづらさを感じながらもその子にあった学びや成長の機会を得ないまま卒園していってしまうのです。

そこで「あい・あいプラス」による、あい・あい保育園への出張プログラム「あい・あいプラスサポート」の仕組みを考えました。彼らの成長の手助けとなるプログラムの専門家が、“こうすれば、こうのびる”というプログラムを、在籍している保育園で提供できるようにしました。これは、保育園を広く展開している当社ならではの仕組みと自負しています。ちなみに、あい・あいプラス10施設のうち5つの施設があい・あい保育園と併設しているため、普段の様子や課題も情報共有もしやすいというメリットがあります。

保護者の負担軽減にもつながる

発達が気になる子どもへの支援は早期に実施することが重要です。しかし、障害が軽度である場合、幼いほど認知されにくく、親も周囲も教育やしつけの問題と考えてしまうことも少なくありません。でも、お子さんは「生きづらさ」「生活のしづらさ」を感じながら過ごしているかもしれません。成長すればなおさらです。

さらに、保護者は子どもの発達が気になっていても、専門機関への相談に抵抗を感じる方も少なくありません。仕事を持っていれば、休みをとって遠方の療育施設に通うことも難しいでしょう。
そのためにも「あい・あいプラス」の出張プログラムが有効だと考えます。さらに、障害のある子どもと障害のない子どもが共に教育を受けることで共生社会を実現するインクルーシブ教育にも通じるものと考えます。

将来的なプラスも視野に

保護者の方にお願いしているのは療育手帳の取得です。療育手帳がないと「あい・あい プラス」のサービスは受けられません。しかし、療育手帳と障害者手帳を混同なさっている方も多く、周囲に知られるのを嫌がって拒む方もいらっしゃいます。療育と障害は別のもので、成長とともに外れるケースも多いのです。もし発達に心配をお持ちなら、お近くの自治体に相談してみてください。
今後、「あい・あい プラス」では、プログラムを受講した卒業生の追跡調査もしたいと考えています。プラスになったというデータがエビデンスとなれば、保護者様、ひいては共生社会の形成にもつながる意義があると考えています。