有り難いことに今月は2つの団体から賞を頂けることになりW受賞となりました。
一つは、公益社団法人企業情報化協会が主催するIT賞
もう一つは、日本能率協会が主催するKAIKAアワードです。

当社は「人口問題を解決する」という1つのゴールに向かう中で、たくさんの取り組みを同時並行で進めてきました。
今回は、そのたくさんの取り組みの中の2つを評価いただきました。

1つはKAIKAアワードの「高い専門性を持った人財を育成する教育制度」です。
保育、介護、障害者施設などの福祉の現場では、多岐に渡る専門性が求められます。
一般的に、保育士は保育の専門家として位置づけられており、その保育では、身体的・心理的発達の理解、保健衛生、食育、幼児教育、家庭・社会福祉に関する知識と理解などその範囲は広く、さらに施設マネジメントの知識も必要ですが、養成校ではそれらの分野を専門家と言えるほどまで学ぶ課程は用意されていません。
少子高齢化と東京一極集中のために、供給が需要に追いつかず、慢性的に保育・介護に携わる人材が不足しており、なにより人数の確保が必要です。
そのため、本来求められる高度な知識や技能を評価してからの資格付与は現実的ではなく、結果的に国家資格であるにも関わらず知識や技術を確認するための試験そのものが免除されています。
当社は、このような状況下において独自のライセンス制度を導入しており、一度取ればそれで終わりというものではなく、更新が必要な仕組みであり、継続的な専門性向上をねらいとしてきました。

ライセンス資格の取得と更新に必要なレポート作成にあたっては、gbの役員が指導役割を担っているほか、統計解析についてはICT関連事業を行うグループ会社が支援をしています。
また社会福祉研究への助成、シンポジウムの開催などを実施している一般社団法人日本事業所内保育団体連合会ならびに日本社会福祉マネジメント学会設立も主導しすることで、保育・介護について個人の経験をベースとした実務が強調されすぎる風潮に一石を投げかけ、業界のレベル向上に取り組んできました。
こういった活動を通じて、社内外の研究者と実践者が継続的な専門性の学習および実践を目的として交流を行い、業界全体の質の向上とサービス向上へと繋げていくことを目指しています。

一方の介護施設については、高齢者の増加により、施設の必要性は増しているものの、現実としては倒産が増加しています。
ほとんどは介護報酬改定の影響だと考えているのですが、東京商工リサーチによると「倒産の増加要因は、同業他社との競争激化で経営力、資金力が劣る業者の淘汰が加速していることや、人件費の高騰などが挙げられる」とされています。
経営戦略が介護事業の継続の鍵となっており、介護においても保育同様に、実務面での施設長のマネジメント能力・専門性の強化が必要とされているのが現実です。

つまり、保育士や介護福祉士などの資格が現実に即していないのであれば、学び直しとしてリカレント教育が重要になり、それは経営者自身にも当てはまるということです。
当社が社員に求めている専門性は、一言でいえば「課題設定」であり、「何が問題で、何が原因で、どうしたら解決できるのか」と考え方の精度ですから、実務を遂行するのみでは習得できません。
したがって、なんらかの学びの機会が必要となります。

こういった福祉関連の事業に携わる職員の専門家としての地位向上とサービス品質の向上を強い意志を持って取り組むこと自体、民間が行う活動としては非常に珍しいものであると考えておりまして、業界全体へ影響を与えていくためにも外部研究者を巻き込んで展開しています。

私は、エビデンスに基づく保育は、職員の課題解決や質の向上にとって有効な施策であると考えています。
このライセンス制度がスタートしたことにより産官学の連携が得られたことで、現場職員自身が参画することで、社内外の実践者と研究者の直接的交流が創出され、社内外とのネットワーク・交流が構築されつつあります。
また、一部の施設では保護者に積極的な協力を求め、保護者と共に活動している感覚も芽生えつつあり、保育機関が専門家集団であるという認識も広がりつつあります。

しかし、残念ながら現時点では、全員がライセンスを得ているわけではありません。
この制度を成就させるためには、さらに強いリーダーシップと継続的な努力が必要です。
なぜ、このような取り組みを数年前から始めているかと言うと、時代が変わることで良い保育士や介護士の定義が変わるからです。
つまり、何が問題であり、どこに原因があり、どのように解決するのかを考えて提案できる保育士や介護士が専門性のある質の高い専門家になる時代がもうすぐそこまで来ていると思います。

そして、もう1つ受賞したのは、そのために開発した「保育業務支援システム Child Care Systemについて」です。
私は、テクノロジーは生産性を高めるために活用するものであることを基本として位置付けているのですが、ここでの生産性を高める対象は2つあります。
1つは、日々の業務の生産性の向上です。
社会福祉の業界は、手書きの書類を始め、本来早くできる仕事をあえて遅くするのは、もういい加減にやめなくてはなりません。
そのしわ寄せは本人だけでは済みません。

もう一つの生産性は学びです。
子どもや保護者、高齢者などの利用者の立場からして、良い保育士や介護士が自分の担当になればラッキー。
こう言うギャンブルはよくありません。
誰が来ても、誰が担当でも、適切なサービスを提供できる組織をつくっていかなくてはなりません。
例えば、「この保育士が担当の時は子どもがいつも楽しそうに過ごして順調に成長したけれど、違う保育士だったら不安定になった」とことがあったのであれば、前者の生産性は高く、後者は低いことになります。
ガイドラインにある「一人一人に合わせる」とは子どもにとって学びの生産性が高いことを意味します。
少子高齢化社会で、介護と保育ほど重要な仕事はないと考えて会社を作りましたが、ますます重要になってきていると実感しています。
日本の未来のために、保育士と介護士は立ち上がらなくてはなりません。