時折、保育士による虐待のニュースを耳にする。
上図は、児童相談所に寄せられた1999年から2017年までの虐待に関する相談件数の推移である。1999年の11,631件から、2017年には133,778件へと11倍以上の122,147件にまで増加している。
厚労省によると、児童虐待とは以下の4種類である。

殴る、蹴る、投げ落とす、激しく揺さぶる、やけどを負わせる、溺れさせる、首を絞める、縄などにより一室に拘束するなどの「身体的虐待」、子どもへの性的行為、性的行為を見せる、性器を触る又は触らせる、ポルノグラフィの被写体にするなどの「性的虐待」、「家に閉じ込める、食事を与えない、ひどく不潔にする、自動車の中に放置する、重い病気になっても病院に連れて行かないなどの「ネグレクト」、言葉による脅し、無視、きょうだい間での差別的扱い、子どもの目の前で家族に対して暴力をふるう(ドメスティック・バイオレンス:DV)などの「心理的虐待」。

虐待者は、すべての年度において実母がもっとも多く、ついで実父、その他、実父以外の父と続く。虐待の種類は、2012年時点では、身体的虐待が35.3%ともっとも多く、次いで心理的虐待の33.6%、ネグレクトの28.9%、性的虐待の2.2%と続く。虐待を受けた子どもの年齢構成は、同じく2012年時点では、小学生の35.2%がもっとも高く、3歳~学齢前の24.7%、0歳~3歳未満の18.8%、中学生の14.1%、高校生の7.2%と続く。虐待による死亡件数においては、もっとも高かった2007年の142人から2017年の67人へと75人減少し減少傾向にあるものの、心中以外の虐待死は同年において61人から49人とわずか12人の減少である。

児童虐待は、その予防と同時に早期発見と早期対応が求められる。早期発見は、子どもと保護者の両方に兆候が表れる。子どもの場合は表情が乏しい、触られること、近づかれることを嫌がる、乱暴な言葉使い、又は極端に無口、大人への反抗的態度、顔色を伺う態度、落ち着かない態度、家に帰りたがらない、家出、性的に逸脱した言動、他人へのいじめや生き物への残虐な行為などが挙げられており、保護者の場合は、感情や態度が変化しやすい、イライラしている、余裕がないように見える、表情が硬い、話しかけてものってこない、子どもへの近づき方や距離感が不自然、子どもの普段の様子を具体的に語らない、人前で子どもを厳しく叱る、叩くなどである。

児童福祉法第二十五条には、「要保護児童を発見した者は、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は児童委員を介して市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならない。」としており、保育所においても、虐待を発見した場合は児童相談所に報告する義務がある。また、虐待の相談・通告は匿名で行うこともできる。その際は、発見した日時、児童・保護者の情報(氏名、年齢、住所など)、虐待のおそれがあると思った状況(誰が、どのようなことをしているのか、気づいたこと等)などを、本人やその家族など誰の許可を得ることもなく通告できる。しかし、保育所内での虐待には大きな課題がいくつも残る。

指導者としてできることとしては、児童虐待について理解を深める、日頃から子どもと関わり、変化に気づく力量を高める、日頃から子ども及び保護者との信頼関係を築いておく、虐待を受けた子どもがいた場合の対応方針を決め、必要な体制作りを進める、日頃から関係機関との連携を深めておくなどの準備が求められる。しかし、昨今の都市部を中心とした保育所の急増と、保育士の若年化、それに伴う経験不足などから、虐待に関する質の担保も大きな課題となる。つまり、保育士による児童虐待の可能性も十分に注意しなくてはならない。待機児童は解消傾向にあるものの、依然として保活は必須であり、点数競争を勝ち抜き、ようやく入園できた保育園で、本来は通告する側である保育士による児童虐待があった場合、保護者には選択肢はほとんど残されていない。保育士による虐待の原因の多くは、よい保育士であろうとする人間性の欠落が原因と考えられる。また、本来的には理由にはならないが、知識や技術といった専門性の欠如の結果、適切な保育が提供できないというジレンマから虐待が生じる可能性も考えられる。しかし、そもそも保育士による虐待は隠蔽されやすい環境下にあり、仮に、保育士による虐待を発見できたとしても、児童相談所は家庭の問題だけを取り扱うことになっており、課題は残る。運営会社が組織的に対策を講じることができないと、虐待は野放しとなる。

保育事業者には、人間性を重視した保育士の採用と共に、特に新卒保育士への知識と技術を高める教育体制の充実がより一層求められる。同時に、保育士養成校においても、少子化による経営危機に負けることなく、入学希望学生の資質、とりわけ人間性を吟味した上での入学許可と入学後の養成が強く求められる。

 

How childcare companies and nursery schools can protect children from abuse

The requests which the child consultation center received increased from 11,631 to 133,778 from 1999 to 2017.
According to the Ministry of Health、Labor and Welfare, abuse is divided into 4 categories.
Physical abuse is hitting, kicking, throwing, shaking, burning and drowning, etc. Sexual abuse includes sexual acts on children, such as showing sexual behavior, touching genitals, etc.
Neglect is locking up children in their home, not providing meals, an extremely dirty home, leaving them in a car, not taking them to a hospital, etc.
Psychological abuse includes threats, disregard, domestic violence, etc.
Mothers are the most likely to abuse their child, followed by fathers.
The most common type of abuse was physical abuse (35.3%), followed by psychological abuse (33.6%), neglect (28.9%) and sexual abuse (2.2%) in 2012.
Elementary school students were abused most (35.2%), followed by toddlers (24.7%), infants (18.8%) and junior high schoolers (14.1%).
The number of deaths caused by abuse decreased from 142 people in 2007 to 67 in 2017, but deaths from double suicides were almost the same, only dropping from 61 to 49 in the same period.

What can solve child abuse is early detection and early response. In the child’s case, they are averse to being touched, they use aggressive speech, they have no expression, they run away from their home, they abuse others. In the parent’s case, their emotions always fluctuate, they are irritated, their expressions are grim, they don’t talk to their children concretely, they hit their children in public.

In Japanese child welfare law, welfare facilities have to report abuse.
Also, everybody can report with anonymity, without any permission.
All teachers have to understand how to recognize child abuse, we have to check a child’s expression, build trust with them and their parents, and prepare relevant facilities.
However, the drastic increase in the number of daycare centers in big cities because of a lack of nursery teachers due to the aforementioned increase, many young and inexperienced teachers were hired. Simply put, we have to pay attention to abuse by nursery teachers. If parents find out about abuse by nursery teachers, they don’t have many options because of the lack of daycare centers. Moreover, even if they find out about abuse which happened in a daycare center, the Japanese child consultation center cannot deal with that abuse because they can deal with only family abuse.
The cause of abuse by nursery teachers are a lack of character and skills.
The lack of skills induces abuse because they cannot provide suitable childcare.
Inherently, childcare companies have to employ nursery teachers after confirming their character.
Also, they have to cultivate teachers to provide suitable childcare.
Moreover, nursery teacher schools should not accept all students because of a management crisis due to a declining birth rate.
They have to accept students with an appropriate test.

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