認可保育園では近年、外国籍の子どもの割合が増えてきており現場からは保護者対応で戸惑う声も聞こえてきます。保育園に外国籍の子どもがいる風景は特に都市部では当たり前の風景になっているように思います。

【Opinion Report】我が国における外国人労働者の推移が示唆する多国籍保育の対策

外国籍の子どもとその保護者に対する支援の考え方

先日、ある保育者と話をしてやはり外国籍の子どもの比率が多いことが話題となりました。彼女は「外国人であっても子どもは子ども」「子どもの発達が国籍で変わるわけではない」という趣旨の話をし、外国籍の子どもに対して肯定的にとらえていることがうかがえました。

しかし僕はこの問題はそれほど単純ではないと思っています。保護者の子育て観や家族に関係に関する考え方(文化や習慣)には、日本のそれとは大きな違いがあるからです。

「人に迷惑をかけないこと」を他国よりも重要視する日本の文化

今年2月24日に大阪で行われた事保連シンポジウムの基調講演で京都大学の内田先生が「保護者の文化が子育てに与える影響」と題し、海外と日本の子育てや子ども観に関する文化差について講演をしていただきました。

日本の小学校教科書のストーリーを分析した今田(2012)さんの研究でも、日本の教科書では「思いやり」「自分の役割を受け止める」「忠実さ」が上位にきているのに対し、アメリカでは「自分で目標を決める」「自尊感情」「達成」が高い。文化差が非常にわかりやすく出た調査と言えます。
(中略)
海外の人たちからすると、日本の保護者の考え方は、ポジティブではなくネガティブを避けようとする生き方を希望しており、これには驚いているようでした。

第2回事保連シンポジウム開催
基調講演① 内田由紀子氏(京都大学こころの未来研究センター准教授)
「保護者の文化が子育てに与える影響」
https://jihoren.org/pdf/jihoren-osaka1902-report.pdf

内田由紀子氏(京都大学こころの未来研究センター准教授)

日本の親たちが「人に迷惑をかけない」ことを最優先に子育てをし、そのことに海外の人たちが大きな驚きを感じている。こういう感覚を日本の平均的な保育者は意外と知らないまま保護者対応しているように思います。

子育てのために親が犠牲になることの是非

また、内田先生の基調講演では「親の自己実現のために子どもを犠牲にしてはいけないという雰囲気は欧米、特にアメリカにはない」という話題にも及びました。

アメリカでは乳児にうちに子ども部屋で寝かせます。これは子どもが寝室にいると夫婦二人きりの時間が削られてしまうためというのが理由のひとつだそうです。実際に子どもをベビーシッターに預けて二人で食事や映画に行くことは親の当然の権利と考えられている様です。

もちろん子どものひとり寝はアメリカ人にとって「子どもの自立心を育む子育て」というもう一つの側面としてあります。子どもの自立心を育むという姿勢は他の様々な場面でも感じることができます。

一方で日本では多くの過程である程度の年齢までは保護者と子どもが一緒になる光景は一般的ですし、むしろ子どもを一人で寝かせることに対してネガティブな感情を持つと思われます。

また、自尊心や自立心の前に「人に迷惑をかけない」という日本人の感覚は子どもだけでなく大人に対しても同様に要求される文化的なバックグラウンドとしてかなり強く存在しています。

一人一人の「保護者」に合わせた子育て支援

保育所保育指針には一行だけではありますが外国籍の子どもの「保護者」に対する記載があります。

外国籍家庭など、特別な配慮を必要とする家庭の場合には、状況等に応じて個別の支援を行うよう努めること。

保育所保育指針
第4章 子育て支援
2 保育所を利用している保護者に対する子育て支援
⑵ 保護者の状況に配慮した個別の支援
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00010450

また、保育所保育指針解説には上記の解説として以下の記載があります。

外国籍家庭や外国にルーツをもつ家庭、ひとり親家庭、貧困家庭等、 特別な配慮を必要とする家庭では、社会的困難を抱えている場合も多い。

例えば、日本語によるコミュニケーションがとりにくいこと、文化や習慣が異なること、家庭での育児を他に頼ることができないこと、生活が困窮していることなど、その問題も複雑化、多様化している。

保育所保育指針解説
第4章 子育て支援
2 保育所を利用している保護者に対する子育て支援
⑵ 保護者の状況に配慮した個別の支援
http://www.ans.co.jp/u/okinawa/cgi-bin/img_News/151-1.pdf

指針では一人一人の「子ども」に合わせた保育についての記述が多く見られますが、同様に一人一人の「保護者」に合わせた子育て支援も今後さらに必要になってくる時代がくるのかもしれません。

受け入れる側に求められる「親切な交流」

現実に外国籍の子どもを受け入れる保育施設や保育者はどのように対応をすればよいのでしょうか?

先週当社代表の貞松がブログを更新しました。ブログの中で昨年末に成立した改正入管法とそれに伴う日本社会と日本人ひとりひとりが外国人に対して取るべき態度を記載していますので引用します。

では、どのような準備が求められるのでしょうか。
まずは交流を行うべきです。
世代間交流でも、インクルーシブ保育でも、交流することでお互いが理解し合えます。適切な交流さえできれば良い効果は必ず生まれます。適切な交流とは、日本人が得意な親切です。
(中略)
受け入れる側が親切に親身になって交流することで、日本語の習得やお互いの文化の共有が生まれていきます。誰が何を言おうが社会は変わっていきます。私は、親切な交流が得意な会社にしていきたいと思います。

貞松ブログ「親切な交流」
https://globalbridge-hd.com/joe_sadamatsu/7794-2/

上記の「受け入れる側が親切に親身になって交流する」というスタンスは非常に重要だと考えています。これはこれからの日本の取るべき姿勢だと思いますし、これは指針や解説の方向性とも合致します。

確かに大小さまざまな苦労はあると思いますが、ここは日本で我々は日本人です。

親切な交流」が得意な日本人は、多少難しくてもきっと上手くやれると思いますし、出来た時の嬉しさはまた別のやり甲斐や充実感を感じるようになるのではと思っています。


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