2019年度新卒入社の保育士の方達の多くが保育施設で働き始めて一か月が経ち、ゴールデンウイークを迎え一息ついたところかと思います。

都内の多くの認可保育園は危機的な人手不足(特にベテラン保育士の不足)もあり、なかなか十分に新人対応ができないところもあるでしょう。

また、昔ながらの「見て覚える」的な教育をしている施設では自分の力不足に悩んでいるかもしれません。

2019年3月19日付の当社オピニオンレポート保育士〜出入の状況〜が示唆する保育業界の規模の課題」によれば

2008年から2013年までの東京都の保育士登録者約3万人の年齢構成は、20代が 41.5%、30代が25.0%、40代が19.9%、50代が10.1%、60代以上が2.7%であるため、保育士の約半数が20代となっており、経験の浅い若年層が中心と言える。

とのことです。

保育園の子どもが帰ったあとの時間

保育園の一日の中で好きな時間があります。子どもたちが帰ったあとのあの時間帯です。

当社では幼児クラスは基本的には合同保育です。夕方になりお迎えが来て、たくさんいた子供たちがひとりまたひとりと帰っていきます。

お迎えの度に子どもの声は少なくなり、最後の一人がいなくなったところで保育園から子どもの声が完全になくなります。

そして西日が差しこんで静かになった部屋に今までと全く違う空間が現れます。

例えば誰もいない体育館でひとりでバスケットボールをドリブルしているときのダムダムという音とをバッシュのキュッキュッって音だけが響いている時にちょっと似てる。

保育者は子どもがいなくなった部屋でひとり黙々と掃除をします。

そして事務仕事を終えたあと電気を消し、鍵をかけて保育室を後にします。

保育士として悩んだ大先輩の言葉

僕がお世話になった大ベテランのある先生から、自身の未熟さにずっと悩んでいた若い頃の話を教えてもらいました。

日々の保育は余裕がなく上手くいかない。

子どもが帰って掃除をしていると、子どもが作ったブロックを見つけて「あの子がこんなものを作っていたのになぜ気が付いてあげられなかった」と後悔する。

子どものロッカーを掃除していて名札が目にとまり「今日はこの子とほとんど話ができなかったことに気が付いて落ち込んだ。

そんな日々が続いたと当時の様子を話してくれました。

倉橋惣三『育ての心』と出会って

そんな時に日本のフレーベルと言われる倉橋惣三(1882- 1955)の『育ての心』を読む機会があり、その中の以下の一説に救われたそうです。

「子どもらが帰った後」

こどもが帰った後、その日の保育が済んで、まずほっとするのはひと時。大切なのはそれからである。

子どもといっしょにいる間は、自分のしていることを反省したり、考えたりする暇はない。子どもの中に入り込みきって、心に一寸の隙間も残らない。ただ一心不乱。

子どもが帰った後で、朝からのいろいろのことが思いかえされる。われながら、はっと顔の赤くなることもある。しまったと急に冷や汗の流れ出ることもある。ああ済まないことをしたと、その子の顔が見えてくることもある。一体保育は・・・一体私は・・・。とまで思い込まされることもしばしばである。

大切なのは批の時である。批の反省を重ねている人だけが、真の保育者になれる。翌日は一歩進んだ保育者として、再び子どもの方へ入りこんでいけるから。

倉橋惣三
『育ての心(上)』

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倉橋惣三の言葉を読んだその先生は、自分が日々の保育に悩んでいる限りは保育者として成長できるはずだと考え、保育の仕事を続ける自信を取り戻したそうです。

そしてそれから掃除の時間は彼女にとって「子ども一人ひとりの保育を振り返る時間」になったと教えてくれました。

子どもと接している時間以外の時間をどう使うかで成長の速度は変わる

日々の保育の仕事の中で掃除の比率はそれなりあると思います。

保育士不足が深刻な現在、保育士の「雑用」は保育士以外で行えるのであれば保育士以外がやった方がいいと思います。

また、AIやICTの導入でこれらの「雑用」の時間は少なくなっていくと思いますし、そうなるべきです。

しかし、すべての雑用が保育士の仕事から無くなるのはもう少し先になりそうです。そんなときに「雑用」を「雑用」として捉えるか、それとも「保育の一部」として捉えるかでその人の成長の速度は大きく変わってくると思います。

また、子どもと接している時間のみを保育と考えている保育者も少なくないと思います。

しかし掃除に限らず書類の作成や保護者に対する子育て支援の様に「子どもと直接接していない時間」も実はより良い保育をするための大切な時間だったりします。

ゴールデンウィークをどうすごすか?

ともあれ保育者としての人生は始まったばかりです。

長いゴールデンウイークですから保育のことは忘れてリフレッシュするのもいいし、まとまった時間でなかなか読めなかった保育の書籍(例えば倉橋惣三)を読んでみるのもいい。学生時代の仲間と仕事を始めてから今までのことを振り返ってみるのもいいかもしれません。

ひとそれぞれいろんな過ごし方があると思いますがどんな形であれ、保育者ひとりひとりにとって有意義な時間になることを祈っています。


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